【 意地悪の理由 】

 

 いま起こっている出来事を感じる日々。

青空の上にゆるやかに流れる緻密なストーリー。

それは自分の意識で仕立てた映画のようなもの。

そこには出会いがあり、別れがあり、そして敗れ去るシーンが必要だった。

なぜならば、みずからで思い描いた、せつなさや、かなしみというものを

一度体験してみたいという見えない心からの希望をもっていたのだから。

 その映画には、わたしがいる。

あなたという名の、わたしもいる。

それを気づかせようとして、あなたは遠慮なくたくさんの意地悪をわたしにしてきた。

ほんとうは、わたしが投影した世界に生きている、あなたとわたし。

だから、あなたのしてきた意地悪は、わたしがほかの誰かにしてきたことと同じことだった。

あなたはそれを気づかせたくて、わたしと出会い、辛抱強くも傍にいてくれた。

そんな理由を知る由もなくわたしはあなたを裁き、やがて苦しむようになっていった。

あなたを裁くということは、わたし自身をも裁くことなのに。

わたしの信念の中には人に意地悪をしてはいけないという思いが強くあった。

ほんとうのほんとうは、ちょっと意地悪もしてみたいという気持ちがあったのに、

それはいけないことと抑え込み、ずっと自分の胸の内を無視してきたのだった。

湧き上がる感情自体は自由で尊重すべきものなのに。

そのことに気づいたところで、この映画は終わりになる。

なあんだ、あなたという存在は、ほんとうは、わたしのことだったのね。

だから、愛して憎んだ。

そして、それでもまだ心のどこかでは懐かしむような愛をかすかに感じ続けているのね。

Adagio on Blue. yoshi

 

 

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