【 抒情慾写 】
「慾」という字は、心の谷。
そして、心の欠けと表すことによって作られている。
陽のあたらない谷。
知られたくない心の欠け。
元々無かったのではなく、後から失ったものを示す。
それは失ったにも関わらず、しかし、ずっと残っている。
無慈悲にも、容赦なく抉り取られた傷跡として。
一生涯をかけて、癒さんが為に生きている。
目的は何なのかと自分で自分に問えば、そう答えるだろう。
なにかの物を得たり、追加したり、上積みするというのではなく。
欠けという飢渇を、どうにかして満たそうと。
今まで、ずっと見据えることの出来なかった深い谷。
言い表せなかった感情。
すこしだけど、陽に当ててもいいのかもしれない。
欠けた感情。
すこしだけど、気づき、やがて解放していきたい。
現せなかった悲哀と慕情。
すこしだけど、写し出せるようになってきている。
すこしだけど・・・・。
yoshi