【  かなしみというもの 】

 

 明るく、元気に、楽しく・・・・。

頑張らなければならない。

涙をみせてはいけない。

落ち込んではいけない。

このように、常識のごとく刷り込まれ、育てられてきた。

それが学校や社会の端々で、今どうあるのか。

社会全体でもって、強いてきたこと。

悲しいという感情を悪感情として蓋をするように、

見ないように、あってはならない不要なもののごとく。

 落ち込み、悲しんでいる人を見るにつけ思わずしてしまうこと。

培ってきた明るさと強さとでもって元気づけ、励まそうと。

しかし、そのとき、自らの心中で微かに感じるものがある。

消え去ったはずの悲しみが、また疼き始めていると。

雑に埋もれていただけで、消えてはいなかったのだと。

人の悲しみによって、自らの過去、背負っていた悲しみが映しだされてくる。

人を励ましているようでいて、実は懸命に自分で自分を励まそうとしていた。

それが言外に感じとられてしまうからだろう。

とかく力の入った励ましは、かえって人を傷つけてしまうことがある。

 悲しさも人間が自然にもつ感情のひとつ。

否定するよりも、むしろ大切に、じっくりと見つめていきたい。

感じ深めていく中で、いずれ少しづつ癒えていくもの。

強烈で鮮明であった像が時の流れと共に色褪せていくかのように。

yoshi

 

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